苦悩の大きさだけは文豪並み

なけなしの文才の無駄遣い。

Hamburg! Hamburg! Hamburg!



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ハンバーグの肉はどうあるべきかということを考えるとき、まず思い浮かぶのは、粗挽きの牛肉である。炭火で焼いた大ぶりのハンバーグを、熱々の鉄板の上で割って食べるのはたまらない。
では、豚肉であったらどうだろうか?合挽きなどではなく、100%の豚肉である。
読者諸氏の中には
「豚肉なんて…」
と思われる方もいるかもしれない。
並の豚肉であれば、概ねその考えは正しい。ハンバーグにするならば牛肉の方が合っている。豚肉ならば、生姜焼きなりなんなりにすればよい。
しかし、である。豚肉の生産者が、あえて豚肉でハンバーグを作ったのだ。生姜焼きでも角煮でもなく、ハンバーグなのである。これを食べずにいることができるだろうか。
そんな訳で、ハンバーグである。
熱したフライパンにのせた時点で、おいしさの予感しかなかったが、いざ食べようとしたとき、不思議なことが起こった。箸で口に入れる手前で、すでにおいしいのである。ハンバーグは口に入っていない。しかし、確かにおいしい。旨味が香りとなって、舌に到達する前に、鼻腔をくすぐったのだ。
それほどまでに旨味の詰まったハンバーグが、おいしくない訳がない。ご飯に合うかどうかとか、ソースは何をかけるかとか、そんな些末な問題はどうでもよい。ただただ食べるのみである。
気がつくと皿は空になっており、机の上には、手付かずの白飯が、絶望と共に残されていた。我が家には漬物がない。