何となく眠れなくて、ベッドから這い出した。時計を見ると、23時を少し過ぎたところ。枕元にはまだ何もない。今夜はきっと、世界中の良い子も良くない子もなかなか眠りにつけないだろう。だって今夜は、赤い帽子に真っ白い髭の、あの人が来る夜だから。 リビ…
ある新月の晩のこと。ある街のターミナル駅の待合室で、若草色のワンピースを着た少女が大きな旅行カバンを脇に置いて、椅子に腰かけている。ラッシュの時間は過ぎたものの、たくさんの乗降客が行き交っており、待合室もほとんどの席が埋まっている。同行者…
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