苦悩の大きさだけは文豪並み

なけなしの文才の無駄遣い。

NGY大学不思議譚

NGY大学不思議譚⑤ガーになった男

6月上旬。梅雨入り前だというのに、連日雨が降り続けている。そんな憂鬱を振り払うように、学生たちは皆、うきうきとしている。今週末にはN大祭があるのだ。サークルにも部活にも属していない人間からすると、特にうきうきとする理由もなく、むしろ浮ついた…

NGY大学不思議譚④学園祭を歩く幽霊

6月上旬。そろそろ梅雨の足音が聞こえてくる時期であるが、大学内はそわそわしている。それもそのはず、6月の最初の週末にはN大祭が開催されるのだ。もともとは、他の大学と同じく秋の開催となるはずだったのが、第1回の開催直前に伊勢湾台風が上陸し、東…

NGY大学不思議譚③振り出しに戻る時

気がつくと、図書館の机で眠っていた。時計は午前10時を指している。 5月下旬、大学祭に向けてそわそわしている学内で、私は一人レポートに取り組んでいた。楽に単位が取れそうだと思って履修した講義が、「原稿用紙に手書きで書評を書いて毎月末に提出する…

NGY大学不思議譚②本山原人は雑木林に消えた

かつて、「本山原人」と呼ばれる人々がいた。彼らは毎朝、どこからともなく名古屋市営地下鉄の本山駅周辺に現れて、四谷通りの坂をぞろぞろと列をなして南下していく。皆揃いも揃って、薄汚いシャツにリュックサックを背負い、前傾姿勢で歩いていく姿は街行…

NGY大学不思議譚① コンビニエントな増殖は止まらない

私の通っている大学の構内には、コンビニがある。そのコンビニには、レジ打ちの際にやたらと客に話しかける店員さん─ここでは仮に葉本さんとしよう─がいて、面白がられたり、鬱陶しがられたりしている。 ある日の夕方のこと、指導教官の部屋で卒論の指導を受…